東京フィルメックス2005:コンペティション『サグァ』ティーチ・イン
11月23日、有楽町朝日ホールにて『サグァ』の上映終了後、カン・イグァン監督、主演のムン・ソリを迎え、Q&Aが行われた。
7年間つき合った恋人に突然ふられたOLのヒョンジュンは、別の男と結婚するが、結婚生活も冷え切ってきた頃、かつての恋人に再開する……2人の男の間で揺れる女性を『オアシス』でヴェネチア国際映画祭、新人俳優賞を受賞したムン・ソリが繊細に演じる。
Q.脚本はムン・ソリさんを想定して脚本を書いたのですか
監督「シナリオを書いている時は、主演は想定はしていませんでした。書き終わってから、誰が良いかを考えたところ、ムン・ソリさんを思いつきました」
Q新人監督の作品ですが、ムン・ソリさんは、出演するかどうかはどのように決めるのでしょうか
ムン・ソリ「まずシナリオを読み、良い作品だと思ったら、監督に会ってみます。新人監督と仕事をするというのは勇気がいることであり、冒険です。撮影中、カン・イグァン監督とは衝突することが多くありました。29〜30歳女性に現実味を持たせて演じるのは難しいことでした。しかし、監督とのぶつかり合いも、自分の血や肉となったと思います」
Q.どのようにこのストーリーを思いついたのでしょうか
監督「きっかけは、自分の周囲の人の話していることでした。20代後半になると、友達との話は、恋人や妻のことが多くなり、愛をどのように維持するかということについて描けば、皆の共感を得られる作品になるのではと思いました。映画を製作するにあたって、約50組のカップルにインタビューし、男性、女性別々に出会いから今までについてを話してもらいました。男性と女性で、重要と思っていることなどの違いがありました」
Q.クローズアップを多用していますが
監督「普通は場所から人物の顔という映し方が多いでが、私は場所よりも人の表情の方が重要だと考えました。ムン・ソリさんの演技は表情が素晴らしいので、表情を近くで長く撮りました」
Q.演じる側として、クローズアップが多い撮影はどうでしたか
ムン・ソリ「表情を重視するというのは聞いていましたが、これほどクローズアップが多くなるとは思っていませんでした。(笑)カメラが顔の間近にあるので、初めはプレッシャーに感じて、自然に演技することができず、不満を漏らしたこともありました。しかし、撮影するうちに段々と慣れてゆき、体を動かさずとも顔で表現するということを学ぶことが出来ました」