まったく新しい乱歩ワールドの誕生!
大正〜昭和初期のモダニズムをたっぷり吸いこんだ、日本屈指の怪奇幻想ミステリー……そういった江戸川乱歩の小説のベーシックな魅力を踏まえたうえで、“究極のラブストーリー”としての側面を全面的に咲かせたのが、この『乱歩地獄』。

本作はオムニバス形式で、幻想的な悪夢譚の「火星の運河」、鏡に魅了された男の狂気を描いた「鏡地獄」、人間に潜む獣性の醜さと怖さ、哀れさを描いた「芋虫」、地獄の恋を描いた「蟲」の4作品から成っている。

11月5日(土)シネセゾン渋谷にて行われた『乱歩地獄』初日舞台挨拶では、本作の監督&出演者が登壇するとあってか多くの観客が押し寄せ、立ち見が出るほどの賑わいを見せていた。
この場に本日登壇したのは、「火星の運河」から竹内スグル監督、浅野忠信(浅野は4作品全てに出演)、「鏡地獄」から成宮寛貴、「芋虫」から佐藤寿保監督、松田龍平、岡本夕紀子、「蟲」からカネコアツシ監督、緒川たまき 総勢8名の錚々たる面々。

竹内監督:「こんな訳のわからない映画に来て頂いて…すみません。僕が監督した「火星の運河」はどこか日本じゃないどこかで撮ろうという事になり、アイスランドで撮影したんですが行って良かったなぁと思いました。浅野さんの寒さ対策にはとてもこだわりましたが(笑)」

浅野:「僕は4作品全てに出演し結構大変な思いをしたので、皆さんに観てもらえた事で救われた気がします。僕は最初に本作を観た時、とてもおなかいっぱいになりました(笑)。「火星の運河」の撮影は本当に寒くて寒くて…。僕全裸だったんですよ。それなのにみんな防寒具着てて“おい、おい…”って感じでした(苦笑)。ついでに言うと、撮影帰りに車で事故りそうになったんですよ。パンクしちゃって。ちなみにそれ直したの僕です(笑)」

成宮:「こんなに沢山の人が集まってくれ嬉しいです。本作ではSEXシーンやSMシーンがいっぱいあって、なかなかカットもかからなくてちょっと恥ずかしくなったりもしましたが(笑)、実相寺監督の世界観は常にストイックで僕も自然と入っていく事が出来ました。あと、浅野さんって現場でひたすらぼぅ〜と座ってるんですけどすごくかっこよくて。“何考えてるんですか?”って聞いても“何も考えてない…”って。それでもかっこいい!ずるいですね(笑)」

(本日は体調不良の為、欠席した実相寺監督からメッセージ)
「私としては3作目の乱歩ものです。今後もいくつかの作品を残していければと思っています。
成宮くん、この作品では貴方のその存在感に全てを委ねたのです。また一緒にお仕事が出来たらと願っています。」

佐藤監督:「お客さんに観てもらったすぐ後なので今すごく照れくさいですね。乱歩作品の中から「芋虫」を選んだ理由は子供の頃から乱歩作品は好きでよく読んでいたんですが、特に「芋虫」が好きだったんです。ですから乱歩テイストを色濃く出して撮りました。」

松田:「今日はありがとう。僕も浅野さんと同じくこれ観た時おなかいっぱいになりました(笑)。役作りとしては特になく、台本を読んだままのイメージで演じました。今回「鏡地獄」もこの「芋虫」もどれも微妙に似ているというか…。最初僕の作品だけを観て、その後に4作品続けて観たんですがその時のインパクトは1本で観るより全然強かったですね!」

岡本:「台本読んだ時は難しそうだなぁと感じました。でもすごく勉強になるだろうし、楽しめるんじゃないかと思って引き受けました。」

緒川:「撮影が2月のとても寒い時期に行われたんですが、横たわっているとすごく底冷えするんですよね。スタジオが冷蔵庫の中みたいな状態になって。そこでスタッフが気を利かせて血のりや体に塗る絵の具を温かくしてくれたりしたんですけど、すぐ冷えちゃってあまり効果はなかったですねぇ(苦笑)。体力的に1番痛くて寒かった作品です!(苦笑)」

カネコ監督:「基本的に漫画も物語を作って絵にして〜という作業なので映画とあまり違いはないかな?と思ってたんですが、漫画はほぼ一人作業、しかし映画は沢山の人が関わってくるので全然違うんだ、と思いました。」

異能なアーティスト達のコラボレーションによって産み落とされた乱歩の4つの新しい世界。
ディープでスウィートな究極の愛の地獄を堪能せよ。

(菅野奈緒美)

※2005年11月5日より、シネセゾン渋谷・テアトル新宿にてロードショー!

◇作品紹介
『乱歩地獄 』