東京国際映画祭2005:見世物小屋がやってきた。「狼少女」舞台挨拶
開幕から3日目を迎えた第18回東京国際映画祭。「日本映画・ある視点部門」にて選出された「狼少女」の舞台挨拶が行われた。
この映画の舞台はそう遠くない過去ながら独特の香りを放ち続ける「昭和」。クラスのいじめられっこが興行にやってきた見世物小屋の「狼少女」だと噂になり、真相を確かめずにはいられない少年は一人、暗い夜道に自転車を走らせる。親の言いつけに背く事へのドキドキ感や、初めて女の子を好きになることへの戸惑いを絡め、「見世物小屋」を通して現実への一歩を踏み出す少年をみずみずしく描き出している。
主人公の明役には「風の残響」で映画デビューをはたしている鈴木達也、明が好きになる容姿端麗な転校生役に東京電力のCMで注目の大野真緒、「狼少女」と噂されるいじめられっこ役を「おはスタ」で人気の増田怜奈が演じている。また、明の両親役として大塚寧々と利重剛が息のあった演技を見せる他、田口トモロヲ、手塚理美、馬渕英里何、なぎら健壱、西岡徳馬ら実力派俳優たちが脇を固めている。
監督はPFF出身の若手監督、深川栄洋。会場に登場した深川監督は「初めて作った長編映画がこのような場で上映される事にすごく感謝しています」と語った。「僕はすごく緊張しています!」と話し出した鈴木達也君は「キャラがぼーっとしている所が僕と似ていてやりやすかったけれど、夜のシーンが多くて大変で、転んだり、家出したり、寒かったり、、、、」と止まらない暴露話に途中で苦笑いの司会者からストップが掛かっていた。かなり緊張した面持ちの増田怜奈さんは「手塚理美さんがにんじんをお花の形に切る事を教えてくれて、楽しかったです」とかわいらしいエピソードを披露。透き通った目が印象的な大野真緒さんは「茨城(撮影現場)と本当の学校のどちらが自分の学校か分からなくなるくらい友達が増えた事がうれしかったです。」としっかりした口調で話してくれた。
3人の個性がそのまま詰まった「狼少女」。忘れてしまった幼少期のきらきらした感情をこの映画は思い出させてくれる。
(小林えりか)