2006年秋公開の映画『出口のない海』の製作発表記者会見が10月3日都内某所で行なわれた。日本アカデミー最優秀作品賞にも輝いた『半落ち』の原作・横山秀夫、監督・佐々部清コンビに加え、脚本は米アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされた『たそがれ清兵衛』の巨匠・山田洋次と、カンヌ国際映画祭パルムドール受賞作『うなぎ』の脚本を手がけた冨川元文。夢のコラボレーションがここに誕生した。そして主演は映画初出演の市川海老蔵。歌舞伎界のプリンスが本作でついに映画デビューを飾る。共演には『CASSHERN』の伊勢谷友介、『スウィングガールズ』の上野樹里、『パッチギ』の塩谷瞬など期待の若手俳優が顔を揃えた。

『出口のない海』は、戦争によって希望に満ちた輝く未来を断ち切られてしまった青年が二度と帰れない壮絶な使命に向かって突き進みながら、最期の瞬間まで夢を捨てずに生きるとは何かを問い続ける姿を描く、感動の物語だ。本作の主人公・並木浩ニ(市川海老蔵)は海の特攻兵器と呼ばれる人間雷魚“回天”に乗って敵艦に激突するという究極の任務を自ら選択することになる。

会場には市川海老蔵、伊勢谷友介、上野樹里、原作者の横山秀夫、脚本の山田洋次、佐々部清監督、松竹(株)代表取締役迫本淳一社長が姿を現し次のようなメッセージを残した。

横山:「敬愛していた山田洋次監督に脚本をやっていただいて光栄です。こんな豪華なスタッフ・キャストの顔触れは作家冥利に尽きますね。」

山田:「横山さんの原作を読んだ時にこのようにして特攻隊を描く方法があるのかと感動しました。“回天”という武器の複雑さが丁寧に描かれている。そしててこの原作には広い世界で希望に満ち溢れながら野球に打ちこんでいた青年が狭い潜水艦で死んでいかなければならないというその対比は映画的な部分を含んでいておもしろいと思いました。」   

佐々部:「今日はありがとうございます。私は横山小説の一ファンなので今はプレッシャーがあります。子供の頃から尊敬していた山田洋次監督との仕事は天にも昇る気持ちであると共にやはりプレッシャーでもあります。」

市川:「まだ撮影に入っていないので細かいことは言えませんが、とにかく頑張りたいと思います。初めての映画なのでわからないことだらけですが、周りの方々のお話を聞いてみなさんの期待に応えたいです。」

伊勢谷:「個人的にこの時代の精神性には興味がありますね。憧れに近いのかもしれません。今は長い髪も、本作の役作りの為にバッサリ切って挑みます。」

上野:「いい緊張感を持ってここに立っています。時代背景は違うけど、人を愛する気持ちは変わらないと思うのでそこを役でさらけ出していけたらと思います。これから下関に行って頑張ります!」

会場にはほぼ実物大の人間雷魚“回天”が現れた。全長およそ14m!
スタッフ・キャストに負けず劣らずの存在感を見せていた。

(養父真紗子)

□作品紹介
出口のない海