8月6日、新宿トーアにて『同窓會』初日舞台挨拶が行われた。

97年『GOING WEST 西へ…』98年『故郷』に続く、向井寛監督の高齢者をテーマにしたロードムービー三部作、最終章。本作品は同シリーズのテーマである高齢化社会での豊かな生き方とともに、戦争の恐ろしさを直接的な映像ではなく、年老いた男達の苦悩や哀愁で伝える。

昭和17年、「旧制高等学校七高」ナインは夢中で白球を追っていた——。
しかし、悪夢のような戦争により学生達は、引き裂かれ、とりとめもなく失われてゆく人生のなかで、容赦なく叩きのめされていた。あるものは己を捨て、山にこもり、ある者は日本を捨てて外国に逃避した。俊作(加藤剛)も同様に散って逝った親友に対する罪悪感を抱き、ペルーへ渡った。
俊作はこの世の全ての絶望を感じ、60年ぶりに故郷・鹿児島に帰ってきた。俊作は、七高野球部時代の同級生を巡り、日本の風景の良いところで自分の人生を終えようと思っていたのだ。

舞台挨拶には、映画のモデルとなった旧制高等学校七高の平均年齢80歳のOB達が学帽に赤い半被などの姿で参加。彼らにとっては、野球とは今の甲子園に勝る大イベントであったことなどを語り、旧高等学校当時に歌っていた「北辰斜めに」を会場から湧く手拍子とともに合唱。

合唱が終了し、向井寛監督、出演した加藤剛、愛川欽也が登場。

向井監督は、戦後60年を迎え、高齢化社会を迎えたことを胸に、作品を製作したことを語った。

主人公俊作を演じた、加藤剛は、旧制高等学校七高のOB達の合唱を聴き、「私も一緒に歌いたかった」というと、「北辰斜めに」を歌い始めた。それに合わせて会場のOB達も一緒に歌い、会場は一体感に包まれた。
「作品の主人公達は、現在歴史の中で戦争の証言者として生き残っている最終世代です。二度と戦争を起こしたくないという思いを胸に、カメラの前にたっていました」

俊作の同級生を演じた愛川欽也は、撮影当時について「3月の猛吹雪の中撮影しました。寒すぎて呼吸困難になりそうでした」と、会場の笑いを誘った。また、戦争について話すのは、嫌われるかもしれないが、若い世代に戦争の悲惨さを語りつづけていきたいと語った。
(T,S)

☆8月6日(土)より新宿トーアほか全国順次ロードショー

□作品紹介
『同窓會』