もし犬の声が聞こえたら…というのはペットを飼った人なら誰でも空想した経験があるはず。だけど可愛い飼い犬の会話がおっさんの声だったら?
突然犬の声が聞こえるようになってしまった動物嫌いの神経質な臭気判定人とフレンチブルドッグ・ぺスをめぐる淡い友情とナンセンスな視点が可笑しい『イヌゴエ』。
 主演に『ばかのハコ船』『リアリズムの宿』など山下敦弘作品でブレイク中の個性派俳優・山本浩司を迎え、関西弁をおっさん声で話すキュートなフレンチブルドッグ・ぺス役になんとあの遠藤憲一が声の出演で参加する。あの渋くてかっこいいエンケンさんがフレンチブルを…?!面白そーう!これはエンケンさんを直撃だ!

−犬の声をアフレコしてみた感想は?
遠藤「台本には「おっさんくさい声」って書いてあったんですが、実際ぺス(フレンチブルドッグの役名)を画面でみたら「渋い声」でやっても面白いかなって思いました。あの顔けっこうグロテスクだけどずっとみてるとだんだん可愛くなってくるんだよね。声の違和感はあると思うけど、全編を観終わった後になじんでくれたらいいなと思います。」

−遠藤さんは人の声の吹替の仕事は一切受けないとか…
遠藤「洋画のアテレコとかそういう仕事もあるけど、演じている人が全身全霊を込めてやっている芝居に声だけ入れてもかなうわけないと思ってしまうのでやらないですね。ただ、この前も『銀色の髪のアギト』というアニメの映画に声で出演しましたけど、今回みたいに犬や動物とかアニメの声っていうのは、映像のイメージに声を入れてキャラクターを作っていく作業なので好きです。」

−ワンちゃんを演じるにあたって何か役作りは(笑)?
遠藤「関西弁だから台本にあるセリフを家でも何度か練習してきたんだけど、関西弁でアドリブ入れるのが難しかった。一番最初に横井監督と一緒に仕事をしたのが鈴木紗理奈ちゃんと共演した『SEMI』って映画だったんだけど、それも関西弁で、その時も関西弁だったのでアドリブは苦労しました。」
横井健司監督「今回遠藤さんが演じる犬のぺスは東京で生まれた江戸っ子の犬だけど、元々の飼い主だった主人公の父親が大阪人だったので「大阪弁がうつっている犬」という裏設定でもあります。だからきっちり関西弁でなくてもいいようになっているんですよ。そういう意味でも、遠藤さんの声は逆にはまっているとは思います。」

−『イヌゴエ』をやってみて、犬を見る目が変わりそうですか?
遠藤「これ観終わってから犬を観ると、関西弁の声が聞こえてくるような錯覚に陥るかも。そうなって欲しいですね。」

ぺスはフレンチブルドッグでしたが、遠藤さんがご自分を犬にたとえるとしたら何だと思いますか?
遠藤「うーん。マルチーズかな(笑)。2匹ずっと飼ってるんだけどそのうちの一匹がマルチーズなのにギョロ目で、なんかこっち系の顔しているんだよね。」

いま飼っているマルチーズのわんちゃんたちは声が聞こえたらなんていっていると思います?
「“はよ帰ってこいや!”かな(笑)。オスの方にはいつも怒鳴られてて、家を出ようとすると「ワンワンワン!」ってすごい勢いで吠えるんで、“行くな行くな!”ってゆってるんじゃないかな。説教されていると思います。」
(綿野)

★『イヌゴエ』は今冬公開予定!!