6月2日、セルリアンタワー東急ホテルにて、韓国で500万人動員、大ヒット記録更新中の映画「マラソン」のマスコミ懇談会が、チョン・ユンチョル監督とプロデューサーのソク・ミョンボさんを迎え、なごやかな雰囲気の中、開催された。

20歳の身体に5歳の心が宿った自閉症の主人公チョウォンと、彼の類まれない「走り」の才能を開花させるべく、奮闘する母。周囲のサポートを得て、フルマラソンを3時間以内で完走することを目指す。

2002年、自閉症であるにもかかわらず、19歳でチュンチョン国際マラソン大会に出場、見事2時間57分で完走したぺ・ヒョンジンさんをモデルに映画化された作品である。韓国では障害を扱った映画は今までほとんどなかったと語るプロデューサーのソクさん。では、なぜ今「マラソン」なのか?

Q:この映画を撮るきっかけは?
監督「モデルとなったペ・ヒョンジンさんのドキュメンタリーを見て非常に感銘を受けたんです。ちょうどその頃取り組んでいた映画の企画が没になり、非常にストレスが溜まっていたんですね(笑い)気分転換にと始めたマラソンが思いのほか面白かったこともあり、この実話を映画化することを決めました。」
ソク:「韓国ではハリウッドと違い、障害を扱った映画は非常に少ないのです。だからこそ、つくろうと思いました。刺激を与える映画が多い中で、純粋な映画をお届けしたいと思いました。」

Q:映画化するにあたって気をつけた点は?
監督「まず、自閉症についてよく知らなかったので、地域のマラソンクラブに入会してモデルのペ・ヒョンジンくんと一緒に走り、彼の人柄や自閉症について理解するよう
努めました。」

Q:主演を努めた俳優チョ・スンウにどのように演出をつけたのか?
監督「自分なりのキャラクターを事前に設定する分析型の役者であるチョが演じると、なんとなくうわべだけのように見えてしまったので、「細かいことは考えずに、とにかく子供の気持ちでやってほしい」と再度お願いした。結果的にアドリブも含めた即興型のお芝居に切り換えてもらうことで見違えるほど良いものになったと思いますし、チョ・スンウ自身もこの経験に非常に満足してます」

Q:最後にプロデューサーから見て、チョン監督の魅力というのは?
ソク「誠実なところ、そして、何を作りたいかはっきりしていて自分のカラーを持っているところですね。他の製作会社に移ってしまわないか心配です(笑)」

韓国では第41回百想芸術大賞で、映画部門大賞、シナリオ大賞、最優秀男優賞の3冠にも輝いたこの作品。日本ではどのような「マラソン」現象が生まれるだろうか?

(葉山君恵)

☆『マラソン』は2005年7月2日、丸の内ルーブルほか全国松竹・東急系にてロードショー

□作品紹介
『マラソン』