終戦60周年記念の節目となる2005年。出版以後ロングセラーを続け、海外でも高い評価を受けている高木敏子さんの自伝書『ガラスのうさぎ』を原作に、平和を希求する感動のアニメーション映画が誕生する。主人公は、戦争で両親、妹をなくした12歳の少女・敏子。戦争の本当の悲惨さや恐ろしさを知った彼女が、怒りと悲しみを胸に抱きながらもけなげに生き抜き、平和への願いを渇望していくという観る者に戦争・平和の真の意義を問う感動アニメーションだ。3月10日(木)に行われた製作発表には、原作の高木敏子さん、製作スタッフ、キャストの方々が登場し、作品について語った。
 
 「平和憲法はたくさんの命でできているという場面があるんですが、本当にそうだと実感しながら作りました」と語ったのは四分一節子監督。「原作にはない部分も設けていきたい。敏子ちゃんがどのようにして親を殺された憎しみを消化していったのかなど、いろんなことを描いていきたいと思っています」。
 
 また、『ガラスのうさぎ』アニメ化はこれまで3回話があったとのこと。高木敏子さんいわく「アニメでは(伝えたいメッセージを)伝えられないと思っていた。けれど「僕たちの世代は、“爆弾が雨あられのように”と言われても知らない。映画を見て、何人かでもいいから原作を読んでもらったらいいんじゃない?」という孫の言葉で、今、映像を観ないとわからないという原点まで来ていると知って。娘も「やっぱりアニメだよ」と言うのでお話を受けました。そしてスタッフの皆さんがとてもいい人。ここが心を動かされたところでもあります(笑)」とアニメ化決定のエピソードを披露。「6回脚本を書き直してもらったり正直もめましたが(笑)、とてもいい具合に出来上がっています」と作品の出来に自信を見せた。

 続いて、主人公・敏子役の最上莉奈さんは「敏子を理解しようと努力して演じました。戦争という悲しいものが一日でも早くなくなってほしいです。映画で学んだことを活かして、1日1日を大切にしていきたいと思います」、敏子の父親役・原康義さんは「アフレコしながらこみ上げてくることも。印象的だったのは、憲法第9条のこと。日本は(第9条を)誇りに思うべきだと感じています」、敏子の妹・信子役の岡珠希さんは「学校で勉強はしていますが、この映画を通して戦争が本当に怖いと感じました。今後は私たちが伝えていきたいと思います」と力強く語った。また、ビデオレターにてコメントを寄せた敏子の母親役の竹下景子さんは「敏子ちゃん(のような子)が今でも世界のあちこちで生まれているんだと思うと心が痛みます。この映画を観て、命、平和の大切さを考えるきっかけや、明日への元気と勇気をもってもらえたら」と作品をアピールした。
 
(yamamoto)

☆『ガラスのうさぎ』は、5月より全国上映開始!!

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