絶大的な人気を誇る香港出身のスーパースター、ジャッキー・チェン(成龍)。彼の母(2002年に逝去)が病気になったことを契機に、父チェン・ジーピンが初めて息子に過去の真実を話し始める様子をカメラに収めた衝撃のドキュメンタリー『失われた龍の系譜』。スター、ジャッキー・チェンを産み育てた両親も、やはり凄かった。父には本当の名前があり、政府の工作員であったこと、母はアヘンの密売人であったこと、ジャッキーには腹違いの兄二人と、姉がいること…。時代に翻弄されながらもひたむきに生きてきたジャッキーの両親の世代を映し出す、中国の真実の歴史物語でもある。プライベート・フィルムであった本作が日本で公開される運びとなり、本日、メイベル・チャン監督と製作総指揮のアレックス・ロウ氏が来日会見を開いた。

 ロウ氏は「撮影のきっかけは、1999年に、3日間オーストラリアに行かないかとジャッキーに声をかけられたことです。両親を映像に記録してほしかったんだと思います。そして、3日間で撮るはずが、3年もかかってしまいました(笑)。クレジットには、“ジャッキー・チェンの母に捧げる。すべての母に捧げる”とあります」と、監督は「かっこよくて万能な印象のジャッキー・チェンの違った姿を観ることができ、斬新なイメージを与えられると思います。ドキュメンタリーの監督は初めてでしたが、ドキュメンタリーを撮っている意識はありませんでした。ジャッキーのお父さんと実際お会いして話を聞いてから、より多くの人に知ってもらった方がいいと思いました」と撮影を振り返る。
 公開については「香港や中国では公開する予定はありません。このプライベートフィルムが公開されることに対し、ジャッキーの親族たちは戸惑いを感じています。それを彼は尊重しています」と述べる。

 この撮影を通し、ジャッキーは今まで以上に家族に目を向けるようになったそうで、親や子供との絆、共に過ごす時間を大切にしているという。また、このドキュメンタリーの劇映画化の企画も進行中なのだとか。
(村松美和)

■『失われた龍の系譜』は、3月5日より、新宿武蔵野館にてモーニング&レイトショー!

□作品紹介
『失われた龍の系譜〜トレース・オブ・ア・ドラゴン〜』