東京国際映画祭2004:コンペティション部門:15歳のピュアな愛を浮き彫りにした『スキゾ』記者会見
愛する事を知って少年は大人になっていった。
カザフスタンの辺境の村に住む、15歳のスキゾは、賭けボクシングの出場者を手配するチンピラ少年。ある時死んだ選手の代わりに彼の恋人の女性に賞金を届けたスキゾ。彼女に愛する人の死を告げられぬまま、心に愛が芽生えてゆく。
本日、会見に姿を見せたのはグーカ・オマロヴァ監督、スキゾ役のオルジャス・ヌスパエフ氏。
グーカ監督は「ここに来れる機会作ってくれてありがとう。女性監督としてコンペティションという一番肝心な部門に出れた事を本当に嬉しく思います。」と笑顔で語った。そして、主演のオルジャス・ヌスパエフ氏は「本当はここに来るとき気が進まなかったんです。でも、来てしまったら今はもう帰りたくない感じがします。東京が好きになりました。本当にありがとう。」と本音を明かしてくれた。
一言挨拶を終えるとスムーズに質疑応答へと入った。
Q.北海道を舞台にしている作品、今けっこう日本で作られていますが自分では不満が残る作品ばかり。その土地の空気感や風景がなんか違う。でも、『スキゾ』は違って、その場の雰囲気を体感出来るほど素晴らしい作品となっているがどのように作ったのですか?
グーカ監督:「優れたカメラマンに恵まれたのです。彼は経験豊かで高度なセンスを持っていて、しかも芸術性も兼ね揃えている。彼がいたからこそ出来た作品なのです。あと、撮影場所もそのシーンに最もマッチした場所を探し出せたというのもよかったです。」
Q.撮影する中で大変だった事、そして楽しかった事は?
オルジャス:「大変だったのはやはりベッドシーン。そして良かった事はこの作品通じて監督をはじめ沢山の色々な素晴らしい方たちと出会えた事です。」
Q.プレス資料に、“数年前、カザフスタン南東部の都市アルマーティにあるカフェで、人生に心底疲れた男性と出会いました。その男は私に自分の生い立ちを語り始めたのです。”とあるが、これが本作を作ったキッカケとなったのですか?そこで、どのように肉付けをしていったのですか?
グーカ監督:「実際リングでは人が死んでいます。この時男性はすごく傷を負っていてあと2年しか生きられないと話していました。その後私はオランダに移り住み、自分自身はいったい何をしたい?と自問自答していた時にその過去に男性から聞いた話を思い出したんです。そこへ更に少年のストーリーを想像してこの作品を作ろうと思ったのです。」
Q.彼を(オルジャス)をスキゾ役に選んだ理由は?
グーカ監督:「キャスティングを始めたのが7月だったんですが夏休み期間に入っていてもう誰もいなくて進まないでいたんです。そこで児童福祉施設に出向いて一番最初に出会ったのが彼です。ラッキーな事に最初にすぐ見つけられたのです。彼は素晴らしい容貌で絶対にスクリーンで映えると思ったし、何より内面的にも大きな魅力を感じ彼がスクリーンを支えるんだ、と思い決めました。」
15歳の少年スキゾを演じ、監督にこの子しかいないと感じさせたオルジャスの演技。そして本作が長編初監督作品となるグーカ監督の手腕に大注目だ。
(菅野奈緒美)
□作品紹介
『スキゾ』
□東京国際映画祭
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