みうらじゅんの男泣き伝説漫画「アイデン&ティティ」が、盟友・田口トモロヲの手によって映画化された。ブロンソンズとして活動する二人が飲み屋で約束したこの企画。みうらじゅん氏いわく「はじめて飲み屋での約束が果たされました!」とのこと。親友によって映画化されたとあっては感慨もひとしおだろう。公開初日には、田口監督はもちろん、主演の峯田和伸、恋人役の麻生久美子、ジョニ−役の中村獅童、トシ役の大森南朋、豆蔵役のマギーの豪華キャスト陣に加え、原作のみうらじゅん、脚本の宮藤官九郎が舞台挨拶に訪れた。

田口「十年前に原作を読んで、なにか自分でこれを形にしたいと思いました。企画してから4、5年は経ってるんですけどようやくこの日を迎えることができました。」
みうらじゅん「すばらしい映画です。僕はニモより泣きました!…ニモ見てないけど(笑)ボブ・ディランに感謝します!」

みうらさんの分身ともいえる主人公中島を演じたのは現在銀杏BOYZとして音楽活動中の峯田和伸。トモロヲ監督いわく「中島は絶対実際のミュージシャンが演じなきゃいけないと思ってずっと探してました。」という逸材。演技初挑戦とは思えないくらいいい芝居をしている。

峯田「原作のファンだったので、まさか自分が中島を演じることになるとは思いませんでした。セリフをノートに何度も書いて覚えました。田口さんにはケツの穴貸してもいいかな?なんて…」

情けないほどまっすぐな主人公の恋人役麻生久美子は、原作の要となっている役柄を説得力ある演技でみごとに演じきった。
麻生「可愛くて私の宝物みたいな映画です。峯田くんに初めてあった時、こんな人間に会ったのはじめて!と思いました。」

中島のバンド「SPEED WAY」のメンバーを演じた中村獅童、大森南朋、マギーは、なんと四人でライブにも出たことがあるという。
中村「監督の愛に包まれた映画です」
大森「楽しい撮影現場でした。」
マギー「みんなまだ見る前だから詳しいことは言えないけど、犯人は俺です。」
(みうらさんいわく”SPEED WAY”というバンド名はわざとダサい名前にしたとか。小室哲哉が一番はじめにやったバンドの名前からとったそう。)

今乗りに乗っている脚本家の宮藤官九郎は、
「原作が好きだから、あの世界を壊さないように書きました。」

最後に田口監督
「大切な原作、大切なキャスト、大切なスタッフです。少しでもこの気持ちが伝わればいいなぁと思います。映画はお客さんに観てもらって初めて完成します。

エンディングに流れるボブ・ディランの「ライク・ア・ローリングストーン」が心に染み渡る作品です!
(綿野かおり)

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