『クーロン・オブ・エイダ』トークショーSF評論家・小谷真理編
生きていたころの記憶を、コンピュータの中にデジタルデータとして封じ込め、クローン人間として生きる…。究極の不老不死の技術「クローン技術」をテーマにした、アート・サイエンス・ファンタジー映画『クーロン・オブ・エイダ』。そのトークショー第2回目が、8月9日(土)、新宿武蔵野館で行われた。
トークショーには、現在発売中のSFマガジン誌上で、リン・ハーシュマン・リーソン監督と対談した、SF評論家の小谷真理氏と、聞き手として同じくSF批評家の巽孝之氏が出演。
「エイダ・バイロンは19世紀初頭に生まれた女性。この映画『クローン・オブ・エイダ』にも登場するチャールズ・バベッジがコンピュータのハードウエアの原型を構想した人で、エイダは計算式(ソフトウエア)を構想した人です。そういう風に考えると、エイダは女性科学者の走りと言えますね。それで、エイダのことを調べてみたけれど、当時の記録はあまりなかったんです。女性科学者として検索しても出てこないんですよ。でも、コンピュータが発達した1990年代の半ばに『コンピュータの概念を最初に作ったのは誰なんだろう?』と人々が調べたらチャールズ・バベッジの名前が上がり、彼の論文の中に、エイダの名前があったんです。最初にエイダの伝記が出はじめたのは1998年くらいで、リン・ハーシュマン・リーソン監督は、この映画を撮り始めた1996年から1997年にリサーチをしたそうです。現在使われているノイマン型のコンピュータの構想とは違うけれど、計算式の果てに、CGや音楽…今のエンタテイメント作品を生み出すことができると思い描いたところに先見の明がありますね」(小谷)など、SF的な観点からこの映画の魅力を紹介。
「ショッキングだけれど、現実に未来に起こるかもしれない世界」を描いた、映画『クーロン・オブ・エイダ』は、新宿武蔵野館で連日21時10分よりレイトショー公開中。また、8月16日、23日の各土曜日にも、さまざまなゲストを呼びトークショーを行う予定。
□作品紹介
クローン・オブ・エイダ