つげ義春原作、映画『蒸発旅日記』舞台挨拶
『ねじ式』など、宴作でありながら、今もなお新たなファンを獲得している、漫画家「つげ義春」。彼が執筆した「新版 貧困旅日記」(新潮社)の一編『蒸発旅日記』が、山田勇男監督により映画化。
7月26日(土)ユーロスペースで、ゲストに映画評論家の秋本鉄次(司会)と清水ひとみ(姐さん踊り子 役)を、そして飛び入りゲストに主演の銀座吟八(津部義男 役)に迎え、舞台挨拶が行われた。
今回は、そのトークの一部を紹介する。
清水ひとみ
ずっと劇場で裏方の仕事をやっていました。久しぶりの映画出演は楽しかったですね。ちょっと変わった作品なので、いろいろな意味で勉強になりました。あと、久々に脱ぎました(笑)。ちょっと恥ずかしかったですけど、「一生ストリッパーでいたい」という自分の思いがかなって、うれしかったです。
山田監督とは札幌の劇場でお会いしたときに短編映画を撮ったのが縁で、このお話しをいただきました。「ストリッパー役なんだけど、ぜひ出てほしい」ということで、それならば!と久々に脱いでみました。
私がいつも演じているストリップは、芝居形式のもので踊りはないんです。「踊れないストリッパー」という異名もあったんですけど(笑)、いつか華やかに踊ってみたいと思っていました。今回、映画の中で踊ることができてすごくうれしかったです。
その踊るシーンでは、銀座吟八が演じる主人公の津部義男の前で足を開くシーンがあるんです。そういう経験はなかったので照れてしまい、監督と相談して、絵に映りこまないなら舞扇で股間を隠すことにしたんです。ところが本番ではそれが映ってしまい(笑)、撮りなおしになりました。
踊り子時代は体を保つため運動をしていました。でも、踊り子を引退してからはそれをサボっていたので、改めて体を作ったんですけど完璧じゃなかったので、監督と撮影アングルを相談しました。でも、撮影に入ると踊り子の血が騒いで、脱がなくてもいいシーンで脱いでしまったりもしました(笑)。
銀座吟八
山田監督からは、津部義男について「居て居ない人になってくれ」と言われ、撮影前は苦労しました。何度やっても人間の存在感が出てしまうんですね。また、先ほど清水さんがおっしゃっていたストリップのシーンでは、映画を見るとわかるんですが、私は下を向いていて見ていません(笑)。そこのところはよろしくお願いします(笑)。
秋本鉄次
つげ義春さんの作品は今までいくつも映画化されていますが、この『蒸発旅日記』は一番チャーミングな作品だと思います。そのポイントは、清水ひとみさんが演じる姐さん踊り子の舞いで、ぜひじっくりと見てほしいと思います。
□作品紹介
蒸発旅日記