カルト的な人気を集めた前作『クルシメさん』から6年後、奇才・井口昇監督の最新作『恋する幼虫』がぴあフィルムフェスティバルで初公開された。自主製作という形ではじまった企画でありながらキャストは主演の新井亜樹、人気劇団・大人計画の荒川良々や松尾スズキ、演技初挑戦ながらこれまでのイメージを覆すような演技をみせた乾貴美子、唯野未歩子、村杉蝉之介ら豪華な面々がほぼノーギャラで集まり参加している。ふとしたはずみで自分が担当する漫画家に怪我をさせられた主人公の編集者であるが、その顔の傷が変型しひとつの生命体となって人間を襲うようになってしまうというSFホラー的な奇妙なストーリー展開をしつつも、恋の芽生え、個人のトラウマ、笑い、といったたくさんの相反する同居しずらい要素を一つのエンターテイメントの中に完成させてしまったこの作品は、まさに井口節全開!といった彼にしか撮れないものである。そしてなんと次回は藤子不二雄Aの「魔太郎が来る!」をやってみたいと語る井口監督。これ実現したら楽しみだなぁ。

☆『恋する幼虫』は来年テアトル新宿にはレイト公開予定!!

□作品紹介『恋する幼虫』

(綿野かおり)