「演じるのは自分自身ですけど、これはイヴァンの世界。イヴァンがこんな風に自分を見てるんだなって、映画を通して知ることができ、非常に感激しました」(シャルロット・ゲンズブール)。人気女優を妻に持ったごく普通の男の愛と、苦悩と、葛藤と、笑い・・・。自伝的な要素も強いのでは、と思わせる「僕の妻はシャルロット・ゲンズブール」。実生活でも夫であるイヴァン・アタルが監督・主演を兼ね、シャルロット・ゲンズブールの(ほんとうに!)等身大のチャームをスクリーンに引き出した。四月下旬に行われた会見では、揃ってジーンズにカジュアルなシャツと何気ないファッションにセンスが感じられるのだった。
「『シャルロット・フォーエバー』とか、私自身をベースにしたものもあったけど、ここまで素を出したのは今回が初めて。普段、自分が出てる映画を見るのは欠点ばかりに目が行ったりと結構怖いものだけど、今回は素直に感動しました」(シャルロット・ゲンズブール)。
ゲンスブールの役どころは実生活と同じ人気女優。もちろん、撮影ではプレイボーイ俳優とのラブシーンがあったりで、夫の方は気が気じゃない。劇中では映画業界の裏エピソードも随所に登場、これがまた面白いのだ。「僕自身、12年くらいここで仕事をやってきたから、使えそうなネタなんてたくさん持っていた。だけど、自由にやってたら5時間くらいになっちゃうだろ」とイヴァン・アタル。劇中で使われているのはこんなシーンだ。ある時、夫はスタッフ、共演者とともに全裸でくつろぐ妻(ちょっとした賭けの末で、だ!)に鉢合わせしてしまう。「でも、映画業界のへんてこな部分をみせるというわけではなくて、僕が描きたかったのは演じることの難しさなんだ。赤の他人とキスをしたりなんて、役者の仕事では避けられない。けれど、それがいかに大変であるかを見せたくて。ヌードになるっていうのも、演技とはいえど、その瞬間は人物ではなく自分自身に戻ってしまうもの。なのに、『妻がもしそうだったら、そんなことをしなきゃならないとしたら、どうだろう?』ということを感じてもらいたくて、あのシーンを加えたんだ」。
 フランスでは大ヒットを記録した本作、クオリティの高さはセザール賞の第一回監督賞受賞からもおわかりの通り。日本では初夏公開の予定とのこと。しばし待て!!

□作品紹介
ぼくの妻はシャルロット・ゲンズブール

『ぼくの妻はシャルロット・ゲンズブール』は、2003年初夏よりシネ・アミューズにてロードショー公開