いよいよ26日からと決まった初日を目前に、その最恐ぶりが女子高生や若い女性を中心に、話題騒然の韓国製心霊ホラー・ムービー『ボイス』。4月7日、渋谷クロスタワーホールにて開催されたプレミア試写会には、劇場公開2作目にしてナンバーワン・ヒット・ホラーをものにしたアン・ビョンギ監督と、凛とした表情で恐怖の真相を追究していくヒロイン、ジウォンを演じたハ・ジウォンが韓国から来日し、舞台挨拶を行った。
 すらりとした長身が、若々しくスクエアな印象のビョンギ監督は、デビュー作『NIGHTMARE』もホラー映画だったというホラー好き。そんな彼が、今回恐怖を媒介するモノとして携帯電話を選んだアイデアはどこからきたものなのだろう?「韓国も日本と同様、携帯電話は生活に欠かせず、まさに現代人のコミュニケーション・ツールであるわけです。だったら幽霊からの、コミュニケーションの手段をアップグレードさせてもいいんじゃないかってね」(ビョンギ監督)。どのくらい生活に密着してるかという一例?をあげると、実は劇中に出てくる恐怖の番号は、実際にビョンギ監督が使っている番号まんまだとか!公開時には、1日千件くらい悪戯電話がかかってきたそうで、劇中で出てくる「私たちは愛しあう運命だ」という文面が携帯メールで大流行したことと共に、韓国での人気をうかがわせるエピソードだ。因みに、監督の携帯番号は今でもそのままで変更してないとのことだが、皆さんはくれぐれも怖すぎたからといってイタ電などしないように。
 劇中のジャーナリスト姿も魅力的だったが、ドレスアップした実物はいちだんと艶やかさなハ・ジウォンは、ビョンギ監督とは前作に続くコラボレーション。再度、ホラー・ヒロインに挑んだわけだが、役作りで気をつけた点はどうだったのか?「普通の映画では演技の大半は俳優に任され、自分の演技をするわけですが、『ボイス』に関しては私が50%、監督が50%でしたね。観客の皆さんは、私が演じたキャラクターを見て映画に集中し、ストーリーを追っていきますが、そんな私の眼つきや歩き方といった行動は、監督と研究して作り上げていきましたね」(ジウォン)。また、ホラー映画に出演すると、妙な夢を見ることが多いという彼女だが、『ボイス』の撮影中にも見知らぬ老婆が後をついてきて、「大丈夫だよ」と告げる夢をみたとのこと。そして驚いたことに、後日そのことを監督に話すと、その老婆の特長が撮影中に亡くなられた監督の祖母にそっくりだったとか…。「監督のお婆さんが、作品の成功を見守るために出てきてくれたのかもしれませんね」(ジウォン)。
 なお、劇中彼女が演じるヒロインと彼女自身が同じ名前なのは、韓国でのホラー映画に合う女優アンケートで、第1位にあがる彼女を思い浮かべてのことだとか。「最初は別の名前だったんだけど、脚本を印刷する前にジウォンに変えたんです。そうすれば断れないだろうって思ってね(笑)」。そんな監督の言葉に、「今日初めて聞きましたよ。偶然の一致とか言ってたのに!」と彼女も笑う。
 また、本作はロードショー公開時に、日本語吹き替え版も同時公開されるが、この日の会場には、本編中で恐るべき熱演を見せる少女・ヨンジュを演じたウン・ソウの吹き替えを担当した久野美咲ちゃんが、二人への花束のプレゼンターとして駆けつけた。花束を渡し、ジウォンにハグされた美咲ちゃん、「口の動きに声を合わせること、子供なのに大人の気持ちになって台詞を言うのが難しかったです。叫んだシーンの後、凄く喉が痛くなりました」と感想を述べると、ビョンギ監督は「I’m sorry」。
 なお、『ボイス』は、2003年4月26日より渋谷東急ほか全国ロードショー公開!
(宮田晴夫)

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