映画評論家、また『シベリア超特急』シリーズの監督としても有名な水野晴郎が、独断で選んだ新鋭監督の最新作が、連日一挙に上映されるという今回の映画祭。
2日目の18日には、交錯する夢と現実を幻想的に描いた『リフレクション』の王愛美監督、北海道・夕張を舞台にした監督自身の原点ともいうべき、SF3作品『U−ZOM/ゆうばりゾンビ』『U−A/ゆうばりエイリアン』『U−X/unknown−X』のやなぎさわやすひこ監督をはじめ、同2作品に出演した三田真央、主催者の水野晴郎、そして応援ゲストとして、こちらも同映画祭にて上映される、『0&1(ゼロandワン)』『レディ・ドロップ LADYDROP』の中田圭監督、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭の小松沢陽一プロデューサーも駆けつけ、多彩な面々が揃う賑やかな舞台挨拶となった。

やなぎさわやすひこ監督——「新鋭監督、ということになっているのですが、果たして私はいくつに見えるでしょうか(笑)今回上映される3作品は、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭で、小松沢プロデューサーに色々と映画の愛を教えて頂いたのをきっかけとして、夕張を舞台に作りました。楽しんで見て頂けたら、と思います。」

王愛美監督——「今日こうして作品が完成し、上映する機会が得られて本当に嬉しいです。完成するまでに長い間、スタッフや関係者の方々をお待たせしてしまったのですが、ようやく完成することができたので、ご安心頂きたいと思います。多くの方々に協力して頂いたことを本当に感謝しています。どうもありがとうございました。」

ゲストの中田圭監督の、「王監督のアーティスティックな作品と、やなぎさわ監督の直球勝負な面白い作品を立て続けに見ることで、衝撃を受けるかも。覚悟して見て下さい。」というコメントからも、うかがえるように、両監督の作品は雰囲気も内容も全く対照的。
しかし、両監督、そして主催者の水野晴郎には、一つの重要な共通項があると、小松沢プロデューサーは語った。それは各人が、一つの作品を作り上げるという、”もの作り”に対する計り知れない程のエネルギーを持っているということだ。これは、とてもシンプルだが、映画製作においては何よりも不可欠な要素だろう。

ゆうばり国際ファンタスティック映画祭の通訳としても活躍していた王監督の、役者やスタッフ一人一人の心をつかみ、低予算の中でも、共に協力し合って映画を作り上げるというスタイルや、やなぎさわ監督の、例え資金を回収できなくても、若い役者と共に毎年、夕張を舞台とした作品を作る、という映画製作に対する情熱があったからこそ、今回の上映に結びついたのではないか、と思わずにはいられなかった。
多くは語らない両監督だったが、その分上映作品が、何よりも雄弁なメッセージを観客に語っていたに違いない。今後の活躍がますます楽しみな両監督であった。

なお、『水野晴郎的超特急 新鋭監督映画祭』は、12/17(火)〜12/27(金)まで、六本木・俳優座シネマにて開催中!
応援ゲストの中田圭監督の『0&1(ゼロandワン)』は19日、『レディ・ドロップ LADYDROP』は21日上映!
(原由夏)
 
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