武器や権力が存在しない、肉体のみの闘い!!顔を歪めるほどの痛みが観客までをも襲う。虚飾を廃したリアルな喧嘩アクション映画、それが『武勇伝』だ!!

映画の企画・主演を務める澤田謙也自身、少林寺やキックの経験者である。そんな彼が“死合”の対戦者として指名したのはK−1戦士魔裟斗。初の主演映画にも関わらず『とにかく存在感がすごい』と澤田に言わしめた男だ。

魔裟斗−−『本当に殴るのと殴ったように見せるのは殴り方が違って、そういう部分で最初は戸惑いがあって難しかった。』
そう本人は言うが、本物の戦士が繰り出すパンチは“脇を開けて大振り”する非現実的なものとはわけが違う。
澤田謙也も『メッセージやストーリー性でなく、とにかく闘い続ける姿を見て、何かを感じて欲しい』と“死合”のリアルさに自信を見せた。

出演者唯一の女優、内藤陽子さんはアクションシーンの撮影現場についてこう振り返った。

内藤陽子−−『迫力が凄くて。本当に仲が悪いんじゃないかと思うくらいに本物の喧嘩に見えて、間近で見るのが恐かった。二人とも普段の姿とは全然違った。』

そんな本物の二人を料理したのは意外にもアクション映画初と言う清水厚監督。『本人たちの持っているものを壊さないようにを一番に考えていた』と言うように素材の味がしっかりと楽しめる仕上がりだ。アクションシーンだけでなく、魔裟斗の照れ屋な部分の魅力も上手く映し出していた。また新たな可能性を見せた魔裟斗。K−1同様、映画界でもエースとなるための闘いはこの『武勇伝』から始まった。
(浦本 直美)

『武勇伝』2003年春、ロードショー 配給:アートポート