TOKYO FILMeX 2002 『DISTANCE』等助監督・28歳の新鋭 西川美和の監督デビュー作『蛇イチゴ』は、是枝裕和監督プロデュースのホームドラマ!
第3回東京フィルメックスにおいて、是枝裕和監督初プロデュース作品が2作上映される。1作目は伊勢谷友介監督『カクト』、そして2作目が今回上映された『蛇イチゴ』だ。監督西川美和は異例のプロフィールをもつ。
早稲田大学在学中、映画に対する情熱から最大手テレビ製作会社の新人募集に応募し、その時の面接が縁となり是枝作品『ディスタンス』にスタッフとして参加。以後、諏訪敦彦監督『M/OTHER』〜森田芳光監督『黒い家』〜中島雄彦監督『人間の屑』〜是枝裕和監督『DISTANCE』などの劇映画の現場に助監督として加わる。そして3年前から暖めていた本作『蛇イチゴ』では、インチキでいい加減な兄役に本作が映画初主演となる宮迫博之(雨挙がリ決死隊)、また兄とは対照的に生真面目な優等生である妹を、キャリアを積んでなお透明感を失わないつみきみほが好演している。
28歳の新鋭監督は家族の崩壊と再生の歩みを、要所を押さえた味付けで軽妙な“ホームドラマ”に仕立てた。キャスティングの妙が光る。
上映前には舞台挨拶、上映後には西川美和監督とプロデューサーの是枝裕和監督を迎えてティーチ・インが行われた。
西川美和監督——「今日は雨の中来ていただいてありがとうございます。宮迫さんとつみきさんは雰囲気は違いますが、二人とも脚本をとてもよく理解してくれました。現場ではほとんどなにも注文をつけた記憶がないくらい、解釈をしっかりしてくれていました。つみきさんは今まで女優さんと活躍されていて確実なものがあり、宮迫さんも俳優としてすごく自然で、柔軟な対応をしてくれていました。ベテラン勢のみなさんの映画に対する取り組みがとても熱意あるもので、このような俳優さんとかかわることが出来てほんとうに良かったなと思います。」
宮迫博之さん(明智周治役)——「最初に監督にお会いした時に、とても若いという印象で。脚本を読んでみたらとても素晴らしかったので、ぜひやらせてくださいと。とても楽しくやらせていただきました。楽しい映画です。」
つみきみほさん(明智倫子役)——「すごく楽しかったです。宮迫さんがほんとにすごく優しい方で、西川さんもすごくエネルギッシュな方で楽しみながらやらせて頂きました。ありがとうございますといいたいくらい。」
キャスティングに関して。
Q:西川監督からのリクエストですか?それとも是枝プロデューサーのアイデア?
是枝裕和プロデューサー ——相談しながら決めていましたが、基本的には監督から出たアイデアです。基本的に主役はできればお笑いの人で行きたいなと。宮迫さんはお忙しいのでダメもとで頼んでみたらOKをもらえました。脚本が一読して面白いので、キャストはみんなぜひ参加したいといってくれました。なので監督にしてみれば思い通りのキャストになったと思います。
Q:今回の映画の、“ホームコメディ”というくくり方について、どう認識していますか?
西川美和監督 ——作品を観てお客さんに笑ってもらえれば結果的にコメディーになると思っています。上映中、裏で様子をうかがっていましたら笑い声が聞こえてましきたのでコメディーということでよいのではないかと思います。
『蛇イチゴ』は2003年春より渋谷シネアミューズ等にてロードショー!
(Yuko Ozawa)