第15回東京国際映画祭『K−19』来日記者会見
会場に到着したキャサリン・ビグロー、クリスチャン・カマルゴ、ピーター・サースガードの3人。
女優としても通用しそうな美しさで、スーツをラフに着こなすのは、キャサリン・ビグロー監督。長身によく映えるスーツ姿で登場したのは、クリスチャン・カマルゴ。紺色のVネックというカジュアルな装いで記者団の前に現れたのは、ピーター・サースガード。壇上に揃った3人は、「今回来日できたことをうれしく思う」と笑顔で挨拶した。
早速はじまった会見では、若手俳優2人の撮影苦労話でスタート。
「高いテンションを維持して、5ヶ月間の撮影に参加することはとても大変だった」と語り出したのはピーター。彼が演じたのは、着任したばかりの原子炉担当官。周りに馴染めない様子を表現するため、共演者とは距離をおくようにしたそうだ。そうして作り出した孤立感を撮影中、維持するように努めたという。それでも長期に渡る撮影ゆえ、「共演者とはかなり打ち解けたてしまったんだけどね」と笑顔で付け加えた。
一方、「パーソナルに焦点を当てた作品であるにもかかわらず、映画そのものは壮大な作り。その中でより人物に深みを与える演技をすることがとても難しかった」と語ったのはクリスチャン。それでもリアルさを追求したキャサリン監督が用意した空間は、リアルそのもの。おかげで自然な演技をすることができたという。また危機に関するトレーニングに参加したことも、演技をする上でとても役に立ったそうだ。
冷戦が終わったから出来たともいわれた今回の企画。「全面的なロシアの協力を得ることができて幸運だったわ」と微笑むのはキャサリン監督。
そのサポートに加え、映画に対するロシア海軍のポジティブな反応にも喜ばされたという。それだけではない。この事件の当事者や未亡人達にフィルムを見せる機会があったが、その際彼らは涙をこぼして感動してくれたという。その様子を目にした時、この映画を作って本当によかったと感じたそうだ。
ハリソン・フォードとリーアム・ニーソンという大物俳優を支えた若手2人は、これからの活躍が非常に期待できる有望な人材。そしてきびきびした態度で自分が作りたいものを確実に生み出すキャサリン・ビグロー監督には、この先どんな作品を我々に届けてくれるのかと、とても楽しみになった。(Mika Saiga)