HMV渋谷「仮面ライダーV3」宮内洋トークショー
「ヒーローを演じた事?別に役者としてひとつの仕事をしたに過ぎませんよ」大抵の役者さんはそう答えます。それはそれでひとつの正しい姿勢なのだろうけれど、ファンとしては寂しいのも事実です。ヒーローを演じた人は数多くいても、ヒーローを演じきったと言える人は稀有な存在です。その一人が宮内洋さんです。
「仮面ライダーV3」DVDBOX発売記念イベントとして、風見志郎こと宮内洋氏のトークショーがHMV渋谷で開催されました。多くのヒーローを演じ、今もヒーローであり続ける宮内氏のトークのみならず、歌ありアクションありの貴重な時間が体験出来、立ち見でぎっしりの大盛況、お客さんとしてはかなり窮屈な思いをしたはずなのに、大満足の笑顔が多く見られたトークショーでした。
トークショーに先立ち、V3を先頭に7人の仮面ライダーが渋谷センター街に現れ、道行く人達は大喜び。息の長い作品だけに、大人も子供も「1号、2号がいる」「あ、ライダーマンだ、アマゾンだ、ストロンガーだ」と、もう夢中。正面の階段に勢ぞろいするライダー達の姿を携帯電話のカメラで撮影する人が目についたのは、さすがセンター街。
子供の前では、煙草を吸わない、物を食べない等を自らに課して長年守り続けているのは、ヒーローの持つ影響力を充分に感じてきた人だからでしょう。会場のHMV渋谷6階のイベントスペースには、仮面ライダーV3を始め、アオレンシャー、怪傑ズバットの早川健、ジャッカー電撃隊の番場壮吉、特救指令ソルブレインの正木本部長他、宮内さんの演じたヒーローのパネルが所狭しと飾られていました。4階では実際に撮影に使われた品々が見られる「宮内洋ヒーロー展」も同時開催されていました。中には「特救指令ソルブレイン」の後番組で使用されるはずだったマニア必見の白い帽子も。番組そのものが幻となってしまった為に未使用で今も綺麗に保存されていました。
イベントスペースでは、司会のお姉さんが説明を始めると、ショッカーの戦闘員が乱入するお約束の展開、それを1号ライダーとライダーマンが救出するも、シオマネキング(ダブルライダー活躍の回、覚えてますか)とオオカミ男(ゾル大佐の正体!)の登場に危うし!二人のライダー!!そこへお馴染みの効果音と共にV3が現れ、悪を蹴散らし、大団円。特撮のみならず「キーハンター」でデビュー以来「暴れん坊将軍」の薮田助八、「必殺」島帰りの龍等の出演作のある宮内さん、家族揃ってのファンだという一家もいて、大人から子供まで幅広い年齢層の会場でしたが、場内はすっかり盛り上がり、そこへ宮内洋さんが登場、トークショーが始まりました。
V3ではオープニングシーンでは通常の3倍の火薬を使用した事、編集の方が宮内さんのシーンをなかなかカット出来なかった事、演技の勉強に電車の中で人を観察し続けた事、アオレンジャーでは捻挫をしてしまい走る事が出来ず、転がって銃を撃つシーンとなったオープニング撮影での思い出話が語られました。。宮内さんが出演作の話をしていくと、それぞれの作品に合わせてBGMがちゃんと用意されていたのには宮内さんもびっくり。スタッフにもファンがいたようです。今でも瓦10枚は割れる「アクションは現役」という宮内さん、アクションを撮る時のレンズのトリックを、アクション俳優の石井氏と実演してくれました。
舞台出演も多い宮内さんだけに、アドリブはお手のもの、珍問難問が続出した質問コーナーでのお客さんとのやりとりも軽妙で、たびたび笑いが起きる楽しい雰囲気でした
「仮面ライダーV3」を熱唱しながら、自ら舞台から降りてお客さんと握手をするハプニングもありました。DVDBOX予約者限定フォトセッションも予定の100名を越えてもなお熱望する人が沢山いた為に、急遽130名まで増やしての対応となりました。最後の一人まで、笑顔を絶やさず”永遠のヒーロー”と呼ばれるのは伊達ではない宮内洋さんでした。
(鈴木奈美子)