“GOM”な日々、海賊版。或いは、『ゴースト・オブ・マーズ』三留VSワシズトークショー・レポート
今回は、レポートである。先にお知らせしたとおり、8月9日シブヤ・シネマ・ソサエティでの『ゴースト・オブ・マーズ』(以下、『GOM』)最終回上映前に、金曜恒例のトーク・イベントが開催された。ゲストはイラスト・ライターの三留まゆみさんと、『GOM』公式Webの監修や当Webでの連載コラムで御馴染みの映画文筆家・鷲巣義明さんという、二人の筋金入りカーペンター・フリーク揃い踏みである。開演前の休憩時間には、聞くともなしに周囲の客席の会話が耳に入ってきたが、客席の方もリピーター濃度がかなり高めな様子である。
「ものすごく絵がカッコイイ!『ハロウィン』からずっと観てるけど、やっぱりこの人に一生ついていこうと思った!全身B級映画監督と私は呼んでます」。『GOM』の感想を興奮気味に語る三留さんは、カーペンターの迷いが無く頑固一徹我が道を行き、「究極の個人映画」を作り続けているその姿勢に強いリスペクトを表明。また鷲巣さんも、「『GOM』製作当時50歳(現在52歳)の監督が、こんな尖がった映画を作っていいのか」みたいな、いつもながらも嬉しい驚きを強く感じたそうである。
ところで、『ハロウィン』が初公開されてから早くも23年の歳月が流れているわけだけど、当時のカーペンターの姿を写真当で観た者には、最近のカーペンターの姿は同世代のジャンル監督に比して、実年齢より年をとっているような印象を受ける。「映画製作にかなりのエネルギーを注ぎ込んでいるから、年々見た目より年をとって見えるのは確か」と、何度もご本人に会っている鷲巣さんがそのあたりの事情を説明に対し、三留さんの「心血注いで鶴が機を織っているみたいなやつれ方ですね」という言い回しは妙に説得力があって、納得の笑いがそこここで起きていた。
この他、男性(男の子?)映画として語られがちのカーペンター作品だが、今回のトークではキャスティング交替劇(ナターシャ・ヘンストリッジの役は、当初コートニー・ラヴが予定されていた)の話などを交えつつ、女性の描かれ方やカーペンターの好む女性のタイプといった女性に絡む話題が多かったのが、ちょっと異色で興味深い。
「偉そうなメッセージなんて言わない。終りの小気味よさに、続きが見てぇー!って毎回思うんだよね」(三留さん)、でもカーペンター自身が手掛けた続編は無い。「続きはいくらでもできそうだけど、作らない。後は皆で考えて…みたいなそこがいいんです」カーペンター番長の面目躍如といった感じの納得のコメントで、トークをしめた鷲巣さんだった。
なお、『ゴースト・オブ・マーズ』は、シブヤ・シネマ・ソサエティにてロードショー公開中。また、この後も下記のトーク・イベント及び入場者プレゼントが開催予定。
(殿井君人)
『ゴースト・オブ・マーズ』トークショー@シブヤ・シネマ・ソサエティ
18時55分より
8月16日(金)
大林千茱萸(映画感想家)×菊池里佳(映画評論家)
8月23日(金)
黒沢清(映画監督)×高橋洋(脚本家)
※なお、全てのトークショーの回に入場した方全員に、オリジナル・トレカをプレゼント致します。
『ゴースト・オブ・マーズ』入場者プレゼント
8月17日(土)
「火星警察」ピンバッジプレゼント!(各回先着50名様)
8月24日(土)
オリジナルマウスパッドプレゼント!(各回先着5名様)
□作品紹介
ゴースト・オブ・マーズ
□公式頁
ゴースト・オブ・マーズ(ゴースト・オブ・マーズな日々連載中)
□「ホラー談義 ワシズのいけにえ」
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