“ガリンペイロ”レーベル第3弾作品『月のあかり』は、沖縄を愛してやまない倉持健一監督が、沖縄地元企業スタッフの協力で作り上げた“チャンプルー・ムービー”だ。撮影は最新鋭の24Pで行われ、テアトル池袋での公開時にはDLPにて上映され、作品に横溢する優しい気持ちとともに、沖縄の青い海・青い空が堪能できそうだ。
 作品の公開に先立つ5月25日、HMV池袋メトロポリタンプラザにて、倉持健一監督、“女”役の椎名へきるさん、“男”役の笠原紳司さんが来場して本作の公開記念トークショーが開催された。まずは、舞台に立った3人が一言づつ挨拶。
 「沖縄映画は沢山ありますが、今の沖縄に一番近いリアルな沖縄が撮られていると思います。観てすごく幸せな気分になれる映画だと思いますので、是非ご覧ください。今日はどうもありがとうございました」(倉持監督)
 「劇中名前がないんですけど、それはどの役者さんも皆同じなので。でも色んな気持ちを重ねて観ていただければいいなと思っています。今日はちょっとずつですけど、『月のあかり』について知っていただければと思います。」(椎名さん)
 「僕も同様に名前の無い“男”を演じています。監督もおっしゃいましたけど、観ていただいて優しい気持ちになれる映画ですので、是非観てください。」(笠原さん)
 椎名さんは本作が映画初出演で初主演。そんな状況でプレッシャーなどなかったのだろうか?「自分が実際に出演するのは初めてで、邪魔になっちゃうんじゃないかと最初は心配でしたが、監督がものすごく沖縄や自分の思いに真っ直ぐな方で、それに自分なりに応えられればと思いました」(椎名さん)。
 数々の映画に出演し、先にレポートしたインディーズ作品『演じ屋』では主役を演じる笠原さんも、一般劇場公開作品では本作が初主演となる。「役で言えば自堕落で現実逃避的なところがあるキャラクターです。真中にありながら、自分から心を開いていくタイプではないし、全く心を閉ざしてしまってもいけないということで、他の役者さんとの距離感をすごく気をつけました。凛とした椎名さんにも助けられましたし、離れた所から演じられました。」(笠原さん)。
 初主演となった二人の仕事は、監督にとって充分満足のいくものだったそうだ。「自分が見てきた沖縄が多分に入った作品で、台本ではわかりずらい部分も多々あったのですが、二人は作品を膨らまし、また前向きに理解しようとしてくれてとても助かりました。ただ、折角の沖縄なのに仕事ばかりで、お酒は飲めない、ヤギ汁も飲めない、海にも入れないで最悪でしたね。好きなところは、やっぱり遊びで来ないと(苦笑)」と、言葉とは裏腹に楽しげに撮影を振り返る監督だった。
 アットホームなムードが漂う3人。沖縄ロケでは沖縄入りした日に台風の直撃にあい、セットが流されるなどの災難に見舞われたが、その間はスタッフ・役者感で深いコミュニケーションを作るよい時間になったそうだ。
 ところで、本作のポイントと言えばなんと言っても“ヤギ汁”である。作品を見ていても、美味いんだか不味いんだかの判断はつきかねるも、強烈な印象を残すことは確か。「ヤギの臓物が沢山入っていて、沖縄で一番美味い店に行くと、生の血や脳みそも入ってるんですよ。すごく、美味しい。皆、美味しい美味しいって」と、熱弁をふるうのはかねてからのヤギ汁ファンの倉持監督だが、今回初めて食した二人の感想はと言うと、「ジャスミンの味です。ほんのり甘くて、皆さんも一度お食べになられたほうが宜しいかと存じます(苦笑)」(椎名さん)、「確かにほんのり甘いんですよ。ただ、獣の味がするんです(笑)。ちょっとこれまで味わったことが無い味で、説明しづらいかな」(笠原さん)との弁だ。想像ついたかな?

なお、『月のあかり』はテアトル池袋にて、6月8日(土)よりロードショー公開!。初日には、本イベントの出席者に作品の共演者を加えての舞台挨拶が開催される予定だ。
(宮田晴夫)

□作品紹介
月のあかり