恋に臆病でちょっと天然ボケ気味のキュートなOLキンキーと、そんな彼女に恋の手ほどきをしていくプレイボーイながら、二枚目半で憎めない上司のアンディ。そんな二人の恋の行方を描き、女性観客を中心に多くの共感を呼んだジョニー・トー監督作品『Needing You』のビデオ&DVDリリースが6月25日に決定した。
 今回のソフト化に際して吹替え版も、本国では歌手としてまたファッション・リーダーとしても人気の高いサミー・チェン演じるヒロイン、キンキー役を、『アメリ』でもヒロインに挑戦した林原めぐみさんが、過去の主演作のパロディも余裕でこなし、コミカルな新生面を見せたアンディ・ラウ演じるアンディ役を、『決戦・紫禁城』ではヒロイックなアンディを演じた池田秀一さんが演じるなど、豪華なキャスティングがなされている
 そんな注目のアテレコが、過日都内のスタジオにて、行われた。音響監督からOKが出ても、それぞれの役者さんは納得するまで演技を繰り返し、熱のこもった収録になり吹替え版の完成が今から楽しみだ。
 以下、アテレコの合間をぬって主演の二人が語ってくれたコメントをレポートしよう。

Q.香港に対する印象と、今回香港映画の吹替えをされて、他の洋画やアニメ等と違った部分がありましたらお話ください
池田秀一さん——香港映画は随分変わったと思いますね。僕はリー・リンチェイの若い頃の作品をよく演ったんですが、話がよくわからない…と言うか滅茶苦茶でね。都会で決闘してたのが、突然雪山に行っちゃったりね。理屈抜きでカンフーの殺陣を楽しめばいいと、それはそれで面白かったですけどね。
でも、今回の映画は繊細さとか、日本映画にもまたない感覚をたくさん感じましたよ。
林原めぐみさん——私は返還前の香港に行ったことがあるんですが、飛行場が近いため電灯は点けっぱなしで、夜遅くまで人がわいわいしていて、そんなに行き急がなくても…っていう印象がありますね。香港映画は、カンフーとか格闘のイメージがあるんですけど、この映画はちょっと前の少女漫画みたいな恋愛で、胸がキュンとする感じだと思います。少し前に、『アメリ』というフランス映画の吹替えをやったんですけど、フランスのまったりお洒落な恋愛もいいんですけど、香港の半ば強引とも言えるようなエネルギッシュな恋愛も、両方、私の中では恋愛でグラグラする気持ちに国境無しって感じです。

Q.池田さんは、これまで渋い役柄が多かったですが、今回二枚目半の役柄ということで、注意された点などございますか?
池田さん——アンディ・ラウは1年くらい前に一度演らせていただいたんですが、それはヒーロー系時代劇だったわけです。それで、今回は彼の全く別の面を演らせていただいたんですが、いい俳優さんですよね。僕は僕なりに、楽しく演らさせていただきました。

Q.林原さんは今回、ごく普通のOLであるキンキー役を演じられて共感された部分などありましたか?
林原さん——ちょっと自分との共感とは離れるかもしれませんが、アメリという女の子の恋愛を見つつ、今回キンキーという子の目線での恋愛も経験させていただきつつ、やはり男の人が女の人を好きになる映画も勿論なんですが、女の子が好きになっちゃって、ちょっと滑稽だったり、みっともなくなっちゃったりする姿は、本人は落ち込んだり、ダークに捉えちゃったりするかもしれないけど、そうやって揺れてる女の子って、外から見るとなんて可愛いんだろうって。だからこそ、観てる人が自分を重ねられたり、こんな人が現れたらいいなって思えるんだろうな。自分と共感すると言うより、観てる人が共感しやすいテーマなんだなって、あらためて思いました。

Q.キンキーは、いらいらすると掃除をはじめるちょっと変わった癖を持っていましたが、林原さんご本人にはそういった変わった癖はありますか?
林原さん——最初の方で彼女が探し物をしていて、鞄の中を全部出してから、お店に戻ってお守りを探すシーンがありますが、あれはすごく理解できました。私も家の前で鍵が無いって鞄の中をひっくり返して、「よかった、あった」ってドアを開けて、そこにあったものはしまったつもりだったんですが暗かったんで、財布を置き去りにして気づかずTVを見てて…。帰って来た、うちの相方に「ウワァッ!」って言われて(笑)。探してるものが見つかっちゃうと、安心して他に目が行かなくなっちゃうというのは理解できました。

Q.お二人が、特にここが面白かったというシーンがあれば教えてください
池田さん——僕はこれまであまりコミカルなものは経験が無かったんですが、一人でリハーサルをしてるとよくわからないんですよね。現場で皆さんとやると実に楽しく、これ一人で抜き録りでやってたらむなしいですよね。きっと(笑)。
林原さん——面白い、突飛なシーンは沢山あるんですが、キンキー的に言えば彼女の家族が恐怖で(笑)。これは、是非お楽しみに!

なお『Needing You』は、グルーヴコーポレーションより6月7日にVHS版、6月25日にはDVD版がそれぞれリリース予定だ!

□作品紹介
Needing You
(宮田晴夫)