お笑いコンビ、ナインティナインの岡村隆史の香港コメディ第2弾『無問題2』(もうまんたい2)が、2月9日公開され、主演の岡村、ヒロインの酒井若菜、菅田俊、そして香港からこの日のために駆けつけたチン・ガーロウ監督、ユン・ピョウ、サム・リーによる舞台挨拶が行われた。
「前作のときは、骨折やらいろいろありまして、恋愛要素が強くなったんですけど、今回は本当に香港映画(コメディ)になってますので、たぶん、皆さん楽しめると思います」と語る岡村。今回は、憧れのアクションスターであるユン・ピョウとの共演シーンがたっぷりある。「バリバリ緊張でとにかく間違えたらあかんと思いまして、それでも、かなりNGを出してしまいまして。夢のようなシーンでした」と。
 そのユン・ピョウは、クンフー・アクションの美しさはかのブルース・リーに匹敵すると言われる大スター。久々の日本の舞台に立ち、まずは「ミナサン、キョウハアリガト。『無問題2』オモシロイ」と日本語であいさつし、「(岡村のアクションは)モウマンタイ!(劇中では)僕の技を全部教えました」
 ストーリーは、香港で社長令嬢の酒井若菜と恋に落ちた見習いコックの岡村が、会社乗っ取りを企む叔父から酒井を救う、というもので、そこに酒井にメロメロの刑事やユン・ピョウら中国武術の一派が絡んでくる。製作記者会見のときから岡村と酒井の仲が進展するのかどうか(というか、そもそもそういう関係になるのかどうか)が話題になっていたが……
「約束通り、酒井さんだけでなくキャンディ・ローとのラブシーンも作ったのに、タカシからのお礼をまだもらってない(笑)」とチン・ガーロウ監督。
 酒井の「撮影中は本当に気を遣ってくださって、お兄ちゃんみたいな感じでした」との言葉に、「お兄ちゃん?」と思わず岡村が聞き返し、場内から笑いが。
 岡村と酒井を取り合う香港の刑事を演じたサム・リーは「(酒井を岡村と取り合う役で岡村との共演は)心境的にフクザツなんですけど、けっこういい作品にできたんじゃないかと思います」
「(サムとは)うちの相方よりもぜんぜん絡みやすい(笑)。台本ナシでふたりでやったところがけっこうあるんですけど、サムは自由にやらせてくれました。最後のエンディングの曲なんかも、ふたりでラップをやってますので楽しみにしてください」と岡村。
 さまざまなヒット映画のパロディも満載の、香港コメディの王道をゆく仕上がりの本作に自信満々といった感じの岡村だが、最後は「『タイタニックを抜いたら結婚してもいいよ』って酒井さんが言ったので(会場爆笑)、皆さん、岡村隆史のために劇場にどんどん足を運んでください。そうすれば結婚できると思います」とお笑いタレントらしい言葉で締めていた。

 この日、都内では2劇場3回の舞台挨拶があったのだが、その後、香港からのゲストであるチン・ガーロウ監督とサム・リーを囲む共同取材の席が設けられた。
Q 日本での舞台挨拶についての感想は?
監督「会場には、僕やサムのファンも大勢いて、香港映画のファンが大勢いることを感じました。日本のファンはいい人ばかりで、ルールを守っているね」
サム「すごく応援してくれるのが嬉しい。いい人ばかりでやりやすかった」
Q 主演の岡村隆史、酒井若菜について
サム「岡村さんの番組はいっぱい見ていて、番組ではすごいめちゃくちゃなことをする人なので面白かったのですけど、実際に撮影になるとどうなるのか心配だった。でも、現場では、岡村さんは真面目だし、すごくやりやすかった。言葉が通じなくてもボディランゲージとかでコミュニケーションがとれた。この共演は、僕にとって嬉しかったし、楽しかった。酒井さんに関しては、一緒のシーンもそんなになかったし、彼女の前だと緊張してテレちゃうのであまりしゃべれなかった。でも、可愛い人だなと思います」
監督「タカシと酒井さんだけでなく、僕は日本の俳優全員とのことを心配していた。香港の映画のやり方に慣れないのではないかとね。俳優同士のコミュニケーションも心配していた。撮影中は、彼らの協力もあって楽しくできた。ユン・ピョウやタカシ、サムは特に協力してくれて、いいシーンが撮れたと思う。タカシは、アクションが思っていた以上によくできる。あまり経験がないと思ったが、僕の指示通り動くのでビックリした。タカシにはアクションの才能があるね。酒井さんは、可愛い。メンバーに男が多かったので、そのなかに彼女がいて、みんなの精神的支えになっていたと思うよ」
Q パロディのアイデアについて
監督「アイデアにはチームワークがとても大切。プロデューサーの意見も聞いて考えた。タカシにはモノマネの才能があるので、それをうまく使いたかったんだ。タカシも香港映画のファンで、ジャッキー・チェンやチョウ・ユンファが好きなだし、そこをうまく取り入れられたらとね。サムは、パロディだけじゃなくて映画全体に関していろいろ意見をしてくれている。僕は俳優もしているので、俳優の気持ちもわかるから。ユン・ピョウは、とても有名なアクションスターなのに、休憩時間も僕と一緒にいてアクションについて意見をしてくれて助かった。みんなに感謝している」
Q 岡村が「『無問題』は(20年余り続いた)寅さんシリーズみたいに続けたい」と言っているが、シリーズ化についての考えは?
監督「ぜひ長くやっていきたい。寅さんのように20年続けば、僕らには20年仕事があるから(笑)。いや、現場がとても楽しいので。『無問題』も寅さんも言いたいことは同じ。人生辛いこともあればいいこともあるよってことなんだ」
Q 撮影で辛かったことは?
監督「グリーンデスティニーのパロディ・シーンの撮影。これは雨が多い時期だった。雨が降るとワイヤーが掴まえ難くなるので、危険だからやめようかと思ったが、ぎりぎりまで待ってやることになった。撮影は、本当にギリギリになってしまって、終わってすぐにタカシは飛行機で帰らないと日本での仕事に間に合わなかった。あの日は、本物のユンファが現場に来た。が、タカシの偽ユンファが帰った後で本人が来たんだ。サムのいちばん辛かったことは、酒井とのラブシーンがないことじゃないかな(笑)」
サム「僕がいちばん辛かったのは、撮影が終わってみんなの別れなくてはならなかったこと。ずっと一緒で楽しい撮影だったので寂しかった。監督からは、もっといっぱい出番をもらいたかったな(笑)」
(みくに杏子)

渋谷東急3ほかで全国公開中

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