『血を吸う宇宙』8耐イベントマラソン4日目は、本編での一度見たら一生忘れられない(笑)怪演が光る中田秀夫監督を、佐々木監督と脚本の高橋洋さんの「発狂」コンビが迎え撃っての終始にこやかな鼎談となりました。
 中田監督の出演は唯一の脚本家指定の配役、ということなのですが、高橋洋さんからは外国の文献ではメン・イン・ブラックといえば特異な東洋人として記述されることが多いから、インパクトの強い中田監督を指定したという経緯に始まり、中田監督自身は実は『リング』シリーズにも出ていることや役者としてもやってますよ、という役者論に話は転がっていきました。映画監督が役者として出る意味だとか、そのインパクトだとか、しごく真っ当なトークだったんですよ、今夜は。
 高橋洋さんからは、監督さんにはそれぞれ独特の気質があって、脚本を書くときにはそれぞれにあわせて違う引き出しが開くんだ、というような興味深いお話もありました。例えば黒沢清さんとやるときは『発狂する唇』のようなえげつない脚本は出てこないし、中田監督は「女優のことしか考えてないし女優を撮る時に一番溌剌としている」から女優をいっぱい出そうと考える。だから中田さんを喜ばせるために『リング』では主役を女性に変えるというアイデアが出てきたとか。それが脚本家の仕事として面白いところなのだそうです。
 中田監督からは、最初に出演依頼されたときには「無茶させられそうな雰囲気があったんで、本当は曖昧にフェードアウトするつもりだった(笑)けど」いろいろあって道義的に逃げられなくなったエピソードも披露。まあ、そのおかげで本編40分の必ず客席が沸くシーンが成立したんで、本編を見るときは要チェック!
 佐々木監督も、「発狂」シリーズはイメージしたとおりの配役のできるいい環境にある、というコメントがあり、作りたいものを楽しんで作っているんだという手応えを感じさせてくれました。
 最後に中田監督の新作『仄暗い水の底から』が、オーソドックスだが佐々木監督も背筋が寒くるシーンがいっぱいある!というオスミツキ入りで紹介されました。公開は1月19日なので、昼は『仄暗い水の底から』の初日を、夜はテアトル新宿の映画秘宝のオールナイトでかかる『実録外伝 ゾンビ極道』とリッチなハシゴをしよう!

□作品紹介
http://www.cinematopics.com/cinema/works/output2.php?oid=85
(比呂)