イランでもこんな選挙はやっていないんですよ。『票の重み』ババク・パヤミ監督
すでに本年度のヴェネチア国際映画祭のコンペ部門で監督賞を受賞するなど、監督2作目で注目を集めているババク・パヤミ監督。
キシュ島を舞台に冒頭で観客を驚かせる選挙管理委員の女性が繰り広げるドラマ。観客の中に日本の選挙管理委員を勤めるという男性もとても興味が面白い作品でしたと感想を述べるなど多くの観客にいいいい印象を与えたようだ。
Q.映画音楽の中で日本の楽器・琴を使っていますが、その理由は?
———映画の舞台となった場所の音楽や、映画のテイストに会った音楽を使わなければならないのかもしれませんし、ワールドミュージックというものも考えたことがありますが、それだけだとあまりにも外国製が強すぎるので、考えているとマイケル・ビリングズリィを紹介していただき、彼がイランのことも私が意図していることも理解してくれました。また、彼が東洋の音楽にも詳しくて話し合いをしている過程でこのような形の音楽になったわけです。私は非常に満足しているんですが、日本のお客さまも満足していただけたのならいいのですが・・・。
Q.私は現職の選挙管理委員なのですが、このように実際に家庭に個別訪問して投票を集めているのでしょうか?
———イランで現実には、あのように戸別訪問をして表を集めていることはありません。どこの国でも同じだと思うのですが、国と市民が選挙であれ、どのように一緒になって関わっていけるのであろうかという点に興味があって、人が興味ももつ、関わるということがどのような形が一番いいのだろうかを考えてこのような作品を作りました。
Q.原案でモフセン・マフマルバフ監督の名前が出ていますが、どんもようにこの作品に関わっているのでしょうか?
———彼をプロとしてお付き合いをさせていただいているわけでなくって、いつもいろいろ話し合いをしたりとか、この映画の題材に近いことを討論したりするのですが、プロとしての意見を聞くというよりは、たまたま会って話をする過程でこれは映画の題材になるのかなぁとか感じたりしています。そんなことで、彼を知人、友人として会話の中でいろいろアイディアをいただいたということで、クレジットされているにすぎません。
Q.アラブの人が出ていましたがその理由は?
———たまたま、コネクションがあったので出演をお願いしただけです。それとこの映画をいろんな世代の人たち、いろんな宗教の人たち、いろんな国の人たちが鑑賞します。イランの国の中でも様々な言語で語られているようにイランも長い歴史があるわけです。そんな中で政府が国民のことを理解しないで一方的に押し付けることが私の中では、こんなに様々な人種が生活している国では、難しいことなのだからということで、この映画を作ったわけです。
Q.モフセン・マフマルバフ監督からプロとして意見を聞いていないという話で、なぜクレジットされているのか?
———私は彼の作品に影響されており、彼に対して恩恵をうけているので、そういう意味をもっているので、クレジットさせていただきました。
本作は、2002年の春、ムヴィオラ、クレストインターナショナルの共同配給で公開されます。
□第2回東京フィルメックス
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(外川康弘)