013年夏にスタジオジブリ最新作『かぐや姫の物語』、『風立ちぬ』の公開されることが決定し、12月13日(木)に鈴木敏夫プロデューサーによる会見が行われました。

●鈴木敏夫プロデューサーコメント
 来年はそれぞれ独立した作品として、2本同じ日に公開をしてみようと考えた次第です。
当初は『かぐや姫』を公開して、その後に『風立ちぬ』を公開しようと思っていたのですが、
諸般の事情によりこうなりました。
高畑監督としては14年ぶりの作品で『となりの山田くん』(99)以来です。その間にもいろんな企画を検討していました。

 実際にかぐや姫を映画化しようと思ったのは2005年だったと思います。作品自体はそんな長いものになるとは思ってなかったんです。やったとしても、もしかしたら30分くらいじゃないかと。それが高畑さんの手にかかると、かぐや姫の身に何が起こったのか、何を思ったのか。それをちゃんと描くことで、ちゃんと(長編)映画になる。しかし、最初に出てきたシナリオを読むと、(映画にしたら)3時間半かかるものだったんです(笑)ちなみに『となりの山田くん』の時は7時間半でした(笑)足かけ7年、僕もこんなに時間がかかるとは思ってもいませんでした。しかし、書かれた脚本はとても素晴らしいもので、初めて読んだ時の感想は、「『アルプスの少女ハイジ』を日本でやると、こうなるんだな」と思いました。
(途中、『かぐや姫の物語』の西村義明プロデューサーから)
 高畑監督自身も、「もしかしたらこれは、僕の最高傑作になる」と笑いながら話しています。
 
 『かぐや姫』の方はすべての人の声を録り終えてます。「プレスコ」という方法で先に声を収録し、てそのあとに画を作っていくという手法を取っています。困っているのは『風立ちぬ』の方で、戦争中の若者たちはどういう喋り片をしているのかが分からない。宮崎駿曰く、現代の人より喋り方が早く、滑舌が良く、一人一人が凛としている。そういう人を探しています。

『風立ちぬ』は一言で言うと、「堀越二郎」の話です。宮崎駿は戦争関係のものに対して非常に造詣が深く、堀越二郎という人を個人的趣味として色々調べてたんです。ゼロ戦を設計した人の生涯の話に、堀辰夫の恋物語をドッキングさせたらどんなお話になるだろう。そういうところから、始まりました。
 堀越が10歳の少年時代から、物語は始まります。子供の頃から空に憧れて飛行機に乗りたかった少年が大人になった時、飛行機の仕事に携わろうと思った時に、時代は戦争の時代。そこで彼が作らなきゃいけないものが、環状戦闘機だったという話なんです。宮崎駿は昭和16年生まれ。戦争というものを避けて通れない。戦闘機とかタンクとか、みんなそういうものが好きなんです。ところが時代は日本が戦争に負けて、戦争反対の時代でもあるんです。宮崎駿は、その矛盾の中で生きた人なんです。自分の好きなものが引き裂かれているんです。一方で戦争の兵器、一方で戦争反対という。なんで自分みたいな人間が出来たんだろうということを映画の中で明らかにしたいと、そう話していました。そこが、映画の中でも非常に大きなテーマになってくるんです。