映画批評家だけが選考する賞として誕生した日本映画批評家大賞が今回で16回を迎えた。2006年に公開された邦画は、過去30年間で最多の417本にも登り、興行収入においても21年ぶりに洋画を上回る成績を残すなど、話題づくしの一年となった。授賞式には素晴らしい活躍をした面々はもちろん、これから大いなる活躍を遂げるであろう才能溢れる人達、これまで映画界に多大な足跡を刻んだ方々など豪華な顔ぶれが一堂に集まった。

水野晴郎をはじめとするプレゼンターに賞賛を受け、新人賞に輝いた『武士の一分』の檀れい、助演男優賞の伊原 剛志『硫黄島からの手紙』、主演女優賞の深津 絵里『博士の愛した数式』、エメラルド賞の萩本 欽一、批評家特別監督大賞のマキノ 雅彦など受賞者たちが口々に喜びのコメントを述べた。また、モントリオール国際映画祭で3冠を達成した『長い散歩』からは、新人賞の松田 翔太、審査員特別主演男優賞の緒形 拳、監督賞の奥田瑛ニの3名が受賞。緒形 拳さんは、「待望の70歳を迎えます。うまい役者ではなくて、いい役者になろうと思います。」と新たな誓いを、奥田瑛ニ監督は「監督は天職」と受賞の喜びを語った。

<日本映画批評家大賞受賞一覧>
■新人賞(小森 和子賞): 檀 れい『武士の一分』
■新人賞(南 俊子賞): 松田 翔太『長い散歩』
■助演女優賞: フラガールズ『フラガール』、樹木 希林『赤い鯨と白い蛇』
■助演男優賞: 伊原 剛志『硫黄島からの手紙』
■主演女優賞: 深津 絵里『博士の愛した数式』
■主演男優賞: 沢田 研二『幸福のスイッチ』
■審査員特別主演男優賞: 緒形 拳『長い散歩』
■特別女性監督賞: せんぼん よしこ『赤い鯨と白い蛇』、荻上 直子『かもめ食堂』、安田 真奈『幸福のスイッチ』、宮本 理江子『チェケラッチョ!』、呉 美保『酒井家のしあわせ』、西川 美和『ゆれる』
■監督賞: 奥田 瑛ニ『長い散歩』
■作品賞: 『博士の愛した数式』
■審査員特別作品賞: 『カミュなんて知らない』
■ドキュメンタリー作品賞: 『ヨコハマメリー』
■富士写真フィルム奨励賞: 『子ぎつねヘレン』
■舞台ミュージカル大賞(西條笑児賞): 小堺 一機
■新人監督賞: 大崎 章『キャッチボール屋』
■審査員特別監督賞: 園 子温『気球クラブ、その後』
■特別功労賞(増淵健賞): 「溝口健二の映画」DVDシリーズ
■サファイア大賞: 香川 京子、岸 恵子、安井 昌二
■エメラルド大賞: 角谷 優、秋元 康、萩本 欽一、愛川 欽也
■国際協力賞: キム・ヘスク
■国際活動賞: 『太陽』
■ゴールデン・グローリー賞: 梶 芽衣子、吉村 真理、桂木 洋子、宮城 まり子
■批評家特別監督大賞: マキノ 雅彦『寝ずの番』
■ダイヤモンド大賞: 市川 崑

 日本での活動に賛同し、本年度から「韓国映画批評家大賞」が誕生することも発表され、日本のみならずアジア映画批評家大賞としてさらなる飛躍を約束し、授賞式の幕は閉じられた。
(M.NIBE)